二 何と出会うのか
何と出会うのか
では建築で何に出会うことができるのだろう。何に、ということはここまであまり触れずに来たので良く分からなかったかもしれない。これは言葉にしようと思うと案外難しいけれども、思いつく限り挙げてみたいと思う。
先に書いたように、出会いはそのままで、生きる悦びやリアリティ、社会的倫理といったものを宿している。そのことを前提として、何と出会うのか、を考えていきたい。
もちろんこれから書くことは、それで全てではなく、他にもいろいろ考えられるはずだし、便宜的に分けただけのものなので、互いに関連し合ったり重なり合ったりすると思う。
また、何と出会うのかは、目の前の建築の意味と価値を考えるためのとっかかりであると同時に、建築を設計するための一つの視点でもあると思う。この言葉・視点によって、観察と創作の問題がほんの一瞬でも出会う事ができたらな、と思う。