工学的な知識を何に対してどう使うのか B277『最新建築環境工学 改訂4版』(田中 俊六他)

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田中 俊六 (著), 岩田 利枝 (著), 土屋 喬雄 (著), 秋元 孝之 (著), 寺尾 道仁 (著), 武田 仁 (著)
井上書院; 改訂4版 (2014/2/18)

教科書としての名著

環境工学の教科書である。

最近、基本的なことを学び直す必要性を感じて本屋で探したところ、教科書系には珍しく似たような本が7,8種類は置いてあった。

30分以上迷いに迷った挙げ句、一番教科書っぽくて基本的な数式の載っているものにした。以前なら図解の多いわかりやすいものを選んでいたかもしれない。

(後日、もしやと思い以前見たことのある動画を確認したところ、名著として紹介されているものだった。学生の頃に手に取っていた可能性があるけれども、環境工学に関しては教科書も授業内容もまったく記憶にない・・・)

雰囲気で仕様を決めるのが嫌で、シミュレーションをして定量的な判断ができるようにと環境を構築してみたものの、根本的なところの理解がないと、結局雰囲気で決めることに変わりはないな、と最近の実験等で痛感した。
そういうこともあって本書を購入してざっと一通り読んでみたのだけど、教科書だけあって、知りたかった情報にかなり出会うことができたし、理解も進んだ。

もちろん、一読するだけで内容を自在に使いこなせるようにはならないので、今後必要に応じて実践的な視点から再読する必要がある。
また、現時点ではいろいろな情報が入りすぎて少々混乱してしまっているところもある。

工学的な知識を何に対してどう使うのか

混乱しているのは知識だけではない。
工学的な知識を何に対してどう使うのか、というのも知れば知るほど混乱しつつあるため今は保留にしている。

工学的な知識から、一つのあるべき最適解が導きだせるかというと、そんなことはない。
環境工学的な視点のみから何を満たすべきかという基準がはっきりしていれば、あるいは最適な解というものが存在しうるのかもしれないが、建築は、例えば環境工学的な正しさのみのために存在するのではないし、複雑に絡み合ったそれ以外の大量の要素を無視してはそもそも実現不可能である。

建築が何のために存在するのか、もしくは建築とは何なのか。それによって正しさはいかようにも揺らぐ。
だからといって、今さら<建築>のためにエネルギーを垂れ流すのはいた仕方ない、と言い訳を探したい訳でもない。
それでいて、環境工学的な正しさのために<建築>なんて不要だ、という気もない。
環境工学的な正しさは<建築>の一要素に過ぎない。

今、自分に必要なのは、工学的な知識を何に対してどう使うのか、という自分なりの基準である。

「何に対して」は、これまで大切にしてきたことがある。
それと、「どう使うのか」をつなぐための哲学と言葉、そして知識と技術を探し出す必要がある。

後少しの間は我慢してインプットを進めるつもりだけど、年内には何とかつなぐためのシンプルな言葉だけでも探し出したいと思っている。





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