オノケンは環境主義者になってしまったのか?
「ここ数年の読書記録をみると、ほとんど環境・エコロジーに関するものばかり。インセクトという環境配慮型住宅のブランドも立ち上げたし、オノケンは環境主義者になってしまったのか?」
中にはそう思った方もいるかと思います。
ですが、個人的にはそうではないと思っています。
環境について考えることになった経緯
建築の分野でも「環境に配慮しなければいけない」というプレッシャーは年々強くなっています。
私はそれまで、プレッシャーを伴う環境という言葉に、何か不自由なものを感じていました。
環境という言葉に囚われると、建築が不自由なものになるのでは、と思って、長い間深く考えないようにしていたのです。
だけど、強まるプレッシャーの中、耳を塞ぐにしても、向き合うにしても、自分なりの言葉を持つ必要があるのではないか。
数年前にそう思い、一度覚悟を決めて環境と言う言葉に向き合ってみることにしたのです。
環境は建築を豊かにする
その結果、行き着いたのは「環境について考えることは、建築や生活を豊かにする。それは、これまで建築について考えてきたことの延長線上にある」ということでした。
これは意外でした。
それまで、環境と言う言葉に向き合えば、
- それまで通り、「環境という言葉」に耳をふさいで、「これまで建築を豊かにすると考えてきたこと」を優先する。
- 方針を変えて、「これまで建築を豊かにすると考えてきたこと」に耳をふさいで、「環境という言葉」を優先する。
という二者択一、「環境」か、「建築の豊かさ」か、どちらかの選択を迫られるに違いない、と思っていました。
しかし、その予想はいい意味で裏切られ、「環境」と「建築の豊かさ」は両立することが、だんだんと分かってきたのです。
というより、それまで考えていた「建築の豊かさ」を更に先に進めるための鍵が、まさに「環境」の中にあったことに気づいたのです。
オノケンは環境主義者になってしまったのか?
じゃあ、環境主義者になったかというと、そうではありません。
むしろ、何であれ、〇〇主義者になる、ということは、環境を考える上での大きな障害になる、というのも、また分かってきたことです。
なので、建築を豊かにするために、環境については積極的に考えていきたいけれども、環境主義者になるつもりはない。というのが、今の状態です。
何が言いたいのか、よく分からない?
そうかも知れません。
簡単に説明するのは難しいのですが、できるだけ分かりやすく説明しようと物語調にしてみました。
興味のある方は、インセクトのストーリーを読んでみていただけるとありがたいです。
オノケンは環境配慮を望むクライアントの仕事しかしないの?
これだけ、環境を推すということは、環境配慮を望むクライアントの仕事しかしないのか?
そう感じる方もいるかもしれません。
しかし今現在、少し前の自分がそうだったように、「環境についての自分の言葉を持っていない」という人がほとんどかと思います。
その多くの方を受け入れない、という態度は、いろいろな可能性を狭めてしまいます。
なので、環境について考えたことで建築を豊かにできることがあれば、それを設計に反映してクライアントに還元する。しかし、クライアントに環境に対する明確な姿勢は求めない。これを当面のスタンスにしたいと思います。
結果的に、クライアントが何か感じることがあれば、それは喜ばしいことですが、それは結果でしかないと思うのです。
そして、エコロジカルな思想は、そういうプロセスの中からしか生まれない、というのもまた、最近分かってきたことなのであります。
それでももし、「いえいえ、私は環境について積極的に考えてみたいわ」という方がいらっしゃれば是非、インセクトからのアプローチをお待ちしております!