B088 『建築の可能性、山本理顕的想像力』
山本理顕の著書を読むと、建築にも何かやれそうな気がして勇気が出る。(というかほとんどは何もやってこなかったんじゃないか)
彼ほど、制度に対して逃げずに真摯に取り組んでいる建築家、建築が制度となってしまうことに対して敏感な建築家は他にはいない。
建築が制度と化してしまい、制度がまた建築を規定しまうという悪循環の中で、その悪循環を断つには思考停止の循環に陥る前にあったであろう仮説のもとの思想や理念に立ち返るしかない。
そのうえで、
やはり問われるのは、共感してもらえるような仮説が提案できるかどうか
が重要となる。
建築はもはやかたちではなくて、さまざまな人が参加できるような仕組みをつくること自体が建築じゃないかと思います。建築をつくる過程もふくめて、人々が参加するシステムをつくるのが建築なのではないかと。そのためにも建築家の他者への想像力というのか、その他者を包含できるような新しい空間を提案する能力がますます問われているように思います。個人の表現やかたちを目的にしない、それでも多くの人を魅了する空間、そういう意味でのいい建築をつくることが必要なんでしょうね。
かたちではなく、と言い切れるところに彼の強さがある。
建築=かたちであると思われているところに業界の内と外のギャップが生まれているし、それが自分達の首を絞めることになってきているのだから、そういいきるところから始めるのは有効なのかもしれない。