B162 『オートポイエーシス論入門 』
今考えてることと直接的に関係があると思い、オートポイエーシス論をちゃんと理解しようと思い読み始めました。
『使えるオートポイエーシス論』を目指しているだけあって難解なオートポイエーシス論がみごとに整理されています。これで10年前に買って何度も挫折している河本氏の『オートポイエーシス―第三世代システム』がすっと読めそうです。
ただし、整理されていると言っても感覚的なコツをつかまないとなかなか理解が難しいのでオートポイエーシスを掴みたい方は先に 『オートポイエーシスの世界―新しい世界の見方』を読まれることをおすすめします。
ぽこぽこシステム論
ちょうどこの本を読み始めたときにマルヤガーデンズでジェフリー・アイリッシュさんと山崎亮さんの対談があり、どういう見方でイベントに臨むかを考えているときに「ぽこぽこシステム論」というのを思いつきました。
■オートポイエーシス的ぽこぽこシステム論 – かごしま(たとえば)リノベ研究会(ベータ)
もう少し読み進めていくと、オートポイエーシスの社会システム論で言うところの構成素はコミュ二ーケーションである、というのを置き換えたに過ぎないと分かったのですが、考えた結果がオートポイエーシス論と重なったのは嬉しかったです。(その後@rectuwarkyさんが面白い論を展開して下さっています。)
オノケンノートとリノベ研
リノベシンポ鹿児島の後、なんの確信もないままかごしま(たとえば)リノベ研究会(ベータ)というサイトを立ち上げたのですが、ここに来てようやくサイトの立ち位置のようなものが見えてきたように思います。
オノケンノートとリノベ研、2つのサイトの立ち位置の違いを書いてみると、オノケンノートはあくまで僕個人の建築に対する考え方などを書いているサイトですが、リノベ研は建築分野の内外を問わず、いろいろな方の”産出物”、作品であったりテキストであったり姿勢であったり、が織り成す場、個々の活動をメタで見て考える場になればと思っています。(この論で言うところの1階言及システムもしくはn階言及システムにあたると思います)
リノベと関係ないようですが、今思えばリノベシンポ鹿児島で感じたもやもやは、具体的なリノベに関してではなくおそらく、個々の活動の繋がりの場や仕組みについてだったのだと思えるので方向性としては間違っていないように思います。(そもそも個人でリノベを考えるならサイトを立ち上げる必要はなかったはず)
なので、オノケンノートには自分が建築と向き合うときにどう考えるかという、どちらかというと自分に向けて書きます。
対して、リノベ研に書くことは当然自分の思考の整理と言う意味合いもありますが、どちらかというと個々の活動のメタな部分、例えば”リノベ研というシステム”に対して”ぽこぽこ”を期待して投げるような気持ちで書きます。社会外部へと言っても良いかも知れません。
(※社会と行った途端に対象がぼやけてしまいますのでとりあえずは外部へとしときます)
どちらも内部・外部両方に向けて書いてる部分はありますがウェイトとしてはそんな感じです。
オノケンノート的オートポイエーシス論
オートポイエーシス論はリノベ研的には社会システムとしての動きを記述・理解するのに助けになりそうに思うのですが、オノケンノート的にはどういう意味があるでしょうか。
もともとオートポイエーシスは個人的に(オノケンノート的に)追っていたものですが、
onokennote: オートポイエーシスにもう一つ期待しているのは設計プロセスについて。理論化まではしないと思うけどなんとなくのイメージはある。 [07/06 13:39[org]]
onokennote: 超線形のような感じでパラメーターを扱うけれど、設計プロセスのなかでパラメーター自体が生まれたり消えたり変化しながら全体の構造自体が動的に推移していくことで複雑性を得るようなイメージ。ただし超線形のような共有可能性は失われる。 Dot のやり方に近いかも。 [07/06 13:39[org]]
onokennote: と言っても設計論のようなものを実際の設計に活かす機会は今までつくれてない。それが出来るかできないか、必要か必要でないかも今後の課題ではある。 [07/06 13:42[org]]
というように書いているように設計プロセスについてヒントがありそうな気がします。
設計行為は施主や敷地や社会や経済や図面や模型や・・・、諸々とのコミュニケーションであり、継続的なコミュニケーションの中で例えば図面や実際の建物や関係者の満足感などを産出する一連の流れと考えられると思います。それは小さな社会システムとしてオートポイエーシス的に十分記述・分析できる可能性があると思うのです。
これは、個人の中でも言えると思いますし、dot architectsのような超並列?的な設計作業にも言えそうです。
それに、どんなものづくりであっても、さまざまなレベルで言えることだと思うので、リノベ研で考えたことがこちらにフィードバックもできるんじゃないかと思います。
またオートポイエーシスの環境、相互浸透、撹乱、コード、構造的ドリフト、構造的カップリング、言及システム、共鳴と言った概念を自分の目の前のことに置き換えることでその構造が見えてきて計画・対処できる可能性があるかもしれません。
そうでなくても、産出物のメタの部分でシステムが作動しているイメージを描けることは見方を拡げてくれそうです。