ASJ『未来をのぞく住宅展』
勤めている事務所でASJ(アーキテクツ・スタジオ・ジャパン)の『未来をのぞく住宅展』に出展していたので鹿児島市民文化ホールに行ってきた。
鹿児島の設計事務所を中心に8社による住宅展。
主催のASJはクライアントと建築家を結びトータルなサポートを行っている。
僕は正直、ASJは少し前の建築家ブームの流れに便乗した組織、程度に考えていたのだが、展示会後の懇親会でASJに参加し鹿児島スタジオを受け持つ阿久根建設の社長さんとASJの社長さんの会話を横で聞いていて印象が変わった。
経営という視点からなのは当然だが、ユーザーの方をしっかりと向き、社会に貢献するという姿勢がはっきりとしていた。
今のような建設業界の厳しい状況において生き残るために、安直な価格競争に流されずに誠実な姿勢を貫くのは勇気がいることだ。
しかし、価格競争の先には質の低下(木村建設のように)が待っているし、それは社会の環境を悪化させ、やがてはユーザーの信頼を失うことになる。
自社の利益ばかりを見るのではなくユーザーに対して誠実に向き合うことが結局は利益になる。
そういう誠実に「ものづくり」をしていこうという人たちがこの鹿児島にもいると分かったことは僕にとってもすごく励みになった。
一般には、とにかく安く作ることだけ考えていくつもの施工業者に競争させる、というようなことが行われる。
しかし、信頼できる施工業者とパートナーシップを組み、予算に合わせ適正な価格・仕様でつくる。というやり方のほうが、仮に床面積が減ったりしたとしても、同じ予算で総合的には満足した結果が得られる、というようなことがあるかもしれない。
欲望には限りがないし、建物は少し控えめなほうが良かったりもする。
また、建物をつくるのも人間なのである。
懇親会の最後の締めでサウルス建築設計事務所の宇都さんが、これから設計事務所が施工業者を厳しくチェックするという関係から、パートナーとして共に良いものをつくっていく、というような関係に変わっていくかもしれない、というようなことをおっしゃっていた。
姉歯の事件がそれに対しどういう影響を与えるかは分からないが、少し幸せなものづくりの可能性が垣間見れた幸せな夜であった。
あと8日(日)9日(月)も展覧会を行っているので興味のある方は覗いてみてください。
P.S鹿児島のユーザーの住に対する意識は比較的低い印象がある。まずは、その部分に関わることから始めなくては。