B021 『茶色の朝』
フランク パヴロフ、ヴィンセント ギャロ 他 (2003/12) 大月書店 |
本屋をうろうろしていて、タイトルだけでなんとなく衝動買いしてしまった本。
でも、結構タイムリーで大切なことが書かれていた。
30ページ足らずの寓話であるが、そこにはファシズムの本質が鋭く描かれている。
主人公が何気なく生活をしていると、突然「国家反逆罪」のレッテルを張られ、玄関を強くたたく音がするところで物語は終わる。
しかし、主人公はそれまでの生活のところどころで違和感を感じていたのだ。
その違和感をいろいろともっともな理由をつけて心の奥に封じ込めていく。
その描かれ方は絶妙だ。
人はほとんど無意識に自己を正当化し流されていく。
それが、あまりに自分たちにもありえそうなので恐怖心すら覚えてしまった。
物語と同じようなボリュームで収められている高橋 哲哉の解説にもある通り「やり過ごさないこと」「思考停止をやめること」の大切さを鋭く指摘する寓話である。
つい最近、フランスでカリスマ的人物の率いる極右政党が大躍進したことに抵抗してこの本が出版されたそうだが、今の日本の政治を重ね合わさずにはいられない。
参考記事
茶色い朝のつくられ方~選挙取材の現場から②
ここにTBされていた( 民主党は日本をあきらめてはいかが?もおもしろかった。「茶色の朝」平和キャンペーン)
その他、教育問題やイラク問題などのいろいろな場面でこの本は採り上げられているようです。
やはり、「考えること」は必要だ。
もっと、明るくそれを言えたらなぁ・・・。