B122 『博士の本棚』

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書評/国内純文学


久しぶりの本が好き!から。

『博士の愛した数式』の著者のものでどういう世界観に触れられるだろうかと思って読んでみた。

しかし、読んでみてよく分かったのは僕が「本が好き!」 というのが恥ずかしいぐらい本を読んでいないということ。

この本で最初に出てくる書名が『ファーブル昆虫記』なのだが、これは小学生2・3年のころに読んだ記憶がある。なかなかの出だしだと思ったら、そこから先読んだことのある本が全く出てこない。一冊も。(いや、これと並行して読んだ『ファインマンさん最後の授業』が唯一引っかかった)

何を隠そう、僕は小学校高学年から高校卒業まで本を読むことがどちらかというと嫌いだった、というより自分が影響されるのが怖くて避けていた。 (この期間で自発的に読んだのはマンガとミヒャエル・エンデの『モモ』ぐらいしか記憶にない)読書に関しては、まさしく大学デビューなのです。(それでも小説等はあんまり読んでませんが・・・)

そういうわけで、知らない本ばかりでなかなかチューニングが合わずに本書に没入できませんでした。

ですからここに収められた文章は皆、何の手がかりもない暗がりの中で、どうにかこうにか搾り出したものたちです。<あとがきより>

もし、同じ本を読んでいたらその搾り出したものに『そうそう!それを言ってほしかった』と共感することもあったのでしょうが、同じ本を読んでいない僕としてはその”搾り出した感”ばかりが目に付いてしまってうまくノレなかったと言うのが正直な感想です。

(個人的には『 何の手がかりもない暗がりの中で、どうにかこうにか搾り出した』というのは書いちゃいけないような気がします。そういうことを気付かれないように、というより逆に書くことの喜びに溢れているように書いて欲しかった。)

ノレれば凝縮された時間のようなものが浮かび上がって来そうな予感があっただけに、残念。波長が合う人には(波長が合う時期には)著者の目指しを共有できて気持ちの良い本なのかもしれません。(実際、他の評者の方は多くがそういう感じの好評価でした。)

うーん、とりあえず村上春樹の『中国行きのスロウ・ボート』でも読んでから再読してみようかなぁ。





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