Vectorworks版Ladybug tools(6) エネルギー解析_モデリング編
(※この記事は使用しているwindows,Vectorworks2022の環境のもとに書いています。)
※この解説はGithubのv0.3.1内の新しいサンプルファイルを用いています。それ以前のバージョンの方は新しいファイルをダウンロードしてください。
今回はエネルギー解析について。サンプルファイルの「エネルギー解析」レイヤにあります。
エネルギー解析は長くなりそうなので「モデリング編」と「解析編」、「結果出力編」の3回に分けて解説します。
解析用モデル作成
まずは解析用のモデルを「エネルギー解析用オブジェクト」レイヤーに作成します。
サンプルファイルでは、下記のクラスでモデル作成することを想定しています。
・energy-room・・・honeybeeではroomという単位で解析を行います。roomは閉じた3D図形として作成し、図形の各面が厚みのない外皮(もしくは隣接するroomとの間の壁など)として扱われます。部屋ごとに作成しても良いですし、建物全体をroomとしても構いません。解析したい部分に分けて作成してください。
roomには「room」レコードフォーマットを連結し設定する必要があります。
name・・・部屋名です。解析結果を表示時にこの名前を用います。
program・・・エネルギー消費量を計算する際のモデル(プログラム)を選択します。プログラム自体をノードで自作することも可能ですが、難易度が高いので、住宅の場合は、中層マンション、床下は倉庫で設定しています。
ac・・・roomごとに設定する空調機の番号です。(詳細は解析パートで説明します。)
join・・・複数のroomを連結してその間の境界を空気扱いにするのに用います(サンプルではlivingとvoidを連結しています)。0~7で設定し、0は連結なし、1~7は同じ数字を持つroomが連結されます。
undeffloor・・・基礎部分のモデルの時にチェックします(GLから基礎天まで)。今回のモデルでは基礎断熱を想定していますが、これをチェックしたroomは基礎の仕様が適用されます。
・energy-aparture,energy-door・・・建具用の3D面図形です。3D多角形をroomの面にぴったり重なるように配置します。下記の種類があります。
aparture_out・・・屋外の窓で開閉できないもの。(開閉は気候の良いときの通風の計算に使います。)
aparture_out_operable・・・屋外の窓で開閉できるもの。
door_out・・・屋外ドア。
aparture_int・・・屋内の窓で開閉できないもの。
aparture_int_operable・・・屋内の窓で開閉できるもの。
door_int・・・屋内ドア。
これらには「aparture」レコードフォーマットを連結し設定する必要があります。
ufactore・・・建具の熱貫流率
shgc・・・建具の日射熱取得率
tvis・・・建具の可視光透過率
division・・・建具の日射取得率に用いるガラス区分(今回のサンプルではこの数値は用いません)
※上記の4項目に関しては、後で下記の仕様から自動取得ができますので、空欄でも構いません。
name・・・建具仕様。一般的な省エネ計算に用いるリストの仕様を
parts・・・日射熱取得率の補正に使う付属部材・energy-shading・・・内部および外部の光を遮る庇や間仕切り壁、床などの3D図形です。
・renergy-context・・・周囲の建物などの3D図形です。
モデル作成時の注意点
モデル作成時の注意点です。
・aparture,doorはroomの一つの面に重なるように3D多角形で作図する。
・掃き出し窓などのようにaparture,doorがroomの底辺に接しているとエラーとなるため、150程度浮かせて底辺から離す。
・roomをhoneybeeのモデルとして取り込む際に、5角形以上の面があると面が三角形に分割され、その分割線がaparture,doorに干渉するとエラーになることがあります。その際は、roomを5角形以上の面がでない複数の3D図形に分割して作成してみてください。
モデルチェック
一度「エネルギー解析」を実行すると、honeybee用のモデルデータが生成され、PCに保存されます。
「エネルギー解析」を実行後に「モデルチェック」の「HB Load Objects」の「itemObjs」ポートを「Roomラベル表示normal」「Roomラベル表示energy」「HB Visualize by Type」のいずれかに接続し実行するとモデルチェック用の図形が生成されます。詳細は省きますのでいろいろ試してみてください。
aparture nameから性能値設定
「エネルギー解析」レイヤの上部にある「aparture nameから性能値設定」ノードを実行すると、「aparture」レコードフォーマットのnameとpartsの値からその他の性能値が自動的に入力されますので、解析前に忘れないようにしてください。
モデリング編以上です。
次回は解析編です。