Vectorworks版Ladybug tools(1) Ladybug toolsについて
弊所でのBIM化について書くにあたり、まずはVectorworks版Ladybug toolsから説明してみたいと思います。
環境シミュレーションのための環境構築をBIM化と言って良いか分かりませんが、CAD内のモデルと情報にもとづいて、設計に必要な検討と出力を行う、という意味で私はBIMの一環と捉えています。
Ladybug toolsとは
Ladybug Tools は、建築や都市設計における環境シミュレーションを行うためのオープンソースツール群です。
特に、エネルギー効率や環境性能の最適化を目的とした設計プロセスで活用されていて、世界中で多くの人に利用されています。
例えば、太陽光・日射解析、照明シミュレーション、エネルギー使用量の評価、空気流動解析、都市スケールの熱環境評価などを行えます。
このツール自体はpythonというプログラム言語で書かれていて、多様なアプリケーションに対応可能なように設計されています。
現在いくつかのCADでプラグイン化されているようですが、メジャーなのはRhinoceros+Grasshopperのプラグインでしょう。
私も環境シミュレーションをやってみたくて、Rhinoを購入し、導入について日本語で解説しているBuilding Environment Design.comの記事をみながらこのツールを利用していました。
Vectorworksへの移殖に至る経緯
しばらくは、Vectorworksでデータを作成したものを、Rhinoにdxf等で持っていき、Ladyugでシミュレーションする、ということをやっていました。
これをVectorworks上で直接動かせたら便利だろうな、と頭をよぎっても「今現在ないってことはそんな簡単じゃないんだう。だって、世界のVectorworksユーザーの中には、Ladybug toolsを移植しようとする変人がいないわけがない」、と他人事のように思っていました。
それがある時、あろうことか自分でやってみようと思ってしまった。
今振り返っても、できる見込みはほとんどなかったし、何を思ったのか意味が分からないのですが、頭に浮かんだ以上は一度試してみないと気が済まない性格が災いして取り組んでみることになりました。
(実はベクターワークスジャパンのとある中の人が、某SNS上で、Ladybug Toolsのコードとvectorworksを使って遊んでいるのを見かけて、これができるなら・・・と考え出すと止められなくなってしまったのです。この方には行き詰まった時に何度も質問を投げかけて助けていただいたので、めちゃめちゃ感謝しています。)
Vectorworks版について
さて、Vectorworks版については、LadybugとHoneybeeに関してはほとんどのGrasshopper コンポーネントをVectorworksのマリオネットに移殖できたかと思いますし、私が使っている範囲ではうまく動いています。
Dragonflyに関してはいまのとこと業務で使用する機会があまりなさそうなので、移植していません。(手間をかければ可能かと思います。)
Butterflyに関しては何度もチャレンジしたのですが今のところうまくいっていません。原因は、Butterflyは更新がストップしていてpython2がベースのままのためで、python3への移行がうまくできませんでした。途中まではうまくいくのですが、最後のシミュレーションの前でデータが受け渡されておらず、2と3の間のデータ構造の違いによるものと推測しています。(python自体が完全独学のうえ、python2は使ったこともないので、経験値がゼロです)
Buterflyはpython2とpython3が扱える強力な協力者が現れるか、python3をベースとした新バージョンが公開されるまで移殖は無理っぽいです。(本当はVectorworks上で動かしたいのですが・・・)
そんな感じで、ある程度は動くようになりました。
(ただし、win版 Vectorworks2022以外の環境でうまく動くかはわかりません。)
次回、Vectorworksへのインストール方法などを説明したいと思います。