KBGN ズレを重ねることと線を消す(消さない)こと
ようやく内部の塗装が入り始めました。
基本的には茶系の天井と黒系の壁での構成を考えているのですが、塗装をどこで見切るかは悩みどころ。(写真は塗装前)
この家の一つのテーマに”ずれ”があります。
竹原義二さんの『無有』で紹介されていた「後楽園流店」のズレと間合いによる操作が頭に残っていて、この建物でも重層的なズレによって実際以上の奥行きが生み出せないだろうかと考えながら計画しました。
具体的には、平面的な角度のずれ、いくつかのレベル差によるずれ、構造体としての軸組と実際意識される柱状の要素とのずれ、又はそれらのズレが重なることによる重層的なずれ、のようなことを意識しているのですが、塗装の見切りとともに、納まりを考える際に線をどこまで消すかというのも悩みどころです。
モダニズム的なセオリーであれば構成を明快にするために可能な限り余計な線を消していくのだと思いますが、今回はズレを明快な構成の中にはっきり位置づけると言うよりは、重層的な構成の中に紛れ込ませるような感じにしたかったので、納まりを考える際に”線を消す”というミッションをある程度弱めています。(予算もろもろの制約もありますが)
あまり余計な線が増えると単に乱雑な空間になってしまうし、あまりにシンプルになると重層感がでなくなってしまう。
今のところ、この辺のさじ加減は感覚で決めるしかなく、内部の塗装が進んでいくのは楽しみですがドキドキものです。
大工さんが丁寧に進めて下さっていてありがたいのですが、その分もうちょっと時間がかかりそうだなー・・・