MEMO「デ・ステイル」
そのモダニズムのジレンマ(ムーブマンを崩していくと抽象性が消滅する)から、デ・ステイルはなぜか、見事に抜け出したのである。一言で言えば、デ・ステイルはすきまを作った。幾何学的形態(エレメント)と形態の間にすきまを作る。すると、そのすきまの部分に運動(ムーブマン)が発生する。・・・オブジェクトには手をふれず、そのすきまに着目したところにデ・ステイルの決定的新しさがあった。(隈研吾)
建築の形のことを考えるとき、それも「形態」のルールについて考えるとき、必ず思い出す建築がひとつある。それはオランダのデ・ステイル、リートフェルトのシュレーダー邸である。建築の形についてはこの建築が私の教科書だ。20世紀の建築、その形態を支配する一番重要な理念が「構成」と言う概念だとしたら、この建築がその基本的なルール、「面」と「線」でヴォリュームを創るという基本ルールをあらためて私に思い出させてくれる。(岸和郎)