Vectorworks版Ladybug tools(4) 日射解析

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(※この記事は使用しているwindows,Vectorworks2022の環境のもとに書いています。)

今回は日射解析について。前回同様、サンプルファイルの「風配図・太陽軌跡・日射解析」レイヤにあります。

解析用モデル作成

日射解析では、Vectorworksのモデル(3D図形)を使って解析を行うので、事前にモデリングが必要です。

サンプルファイルでは、以下のクラスでモデル作成することを想定しています。

ir-buildingA~C・・・解析対象となる建物です。A~Cと3つのクラスがあるのは複数の建物形状を比較したい時に切り替えができるようにしたもので、切り替えが不要であればbuildingAのみで良いかと思います。

ir-shieldA~C・・・庇などの日射を遮るパーツ用のクラスです。A~Cと3つのクラスがあるのは複数の庇形状などを比較したい時に切り替えができるようにしたもので、切り替えが不要であればshieldAのみで良いかと思います。

ir-surrounding・・・周囲の建物や地盤等、日射を遮るもしくは反射する物体用のクラスです。計算上の扱いはshieldクラスと同じです。surroundingは共通の遮蔽物、shieldはA~Cで切り替え可能な遮蔽物とお考えください。(なので、どちらかのクラスのみで作成してもOK)

要するに、受ける日射量を計算表示する物体と、単なる遮蔽物の2つをモデリングすればOKです。

日射解析

日射解析をするには、「日射解析用オブジェクト」レイヤーに上記のクラスでモデリングを行い、「日射解析」ノードを各種設定の上実行してください。

設定項目は、

期間・・・積算日射量を計算する期間。年間、夏季、冬季、夏至、冬至の5種類セットしています。(それ以外の期間を設定するにはノードを組み替えてください。)

グリッドサイズ・・・解析面をグリッドに分割するサイズ。サイズを小さくするほど計算に時間がかかるので適宜調整してください。

オフセット・・・計算上解析面から若干オフセットしたポイントで日射量を計算します(これが0以下だと解析面自身が遮蔽対象になってしまいます)。デフォルト値は100

除外面高さ・・・解析面の内、除外面高さ以下のレベルにあるものは除外されます。これは、例えば直方体の底面などを解析面から除外するために用います。

トータル文字サイズ・・・積算日射量のトータルもデフォルトで表示するようにしたのでそのサイズ(位置も基準点で指定)。

遮蔽オブジェクト複製・・・遮蔽オブジェクトを複製して描画するかどうか。入力用のオブジェクトを非表示にしていたり、位置をずらして表示したりする際に使えるかと。

レコードフォーマット書き出し・・・各解析面の結果をレッコードフォーマットに書き出すかどうか(他のファイルで実行するにはladybugレコードフォーマットを準備する必要あり)。書き出したものは「ladybug dataを表示」ノードで文字図形にできます(後述)。(解析グリッド図形のレコードフォーマットでwriteをFalseにすればその図形のデータは書き出されません。)

メッシュを画像として書き出し・・・解析結果のメッシュを3D図形ではなく画像として書き出せます。(レンダリング無しで色が表示できますが、うまくいかないこともあります。)

面をまとめる・・・grasshopperのMergeFacesに似たノード。これをオンにすると、同じ面を三角形や四角形に分割せずにひとつにまとめるとともに、除外面高さにある下向きの面を除外します。うまくいく場合といかない場合があります。

北直線name・・・方位を示す直線を配置し、任意の名前をつけ、この欄にその名前を入力しておくとその向きを北とします。(空欄もしくはオブジェクトなしの場合は画面上側が北)

解析オブジェクト・・・日射量を計算する面をもつ図形を条件指定で取得します。図形はメッシュにする際に三角形に分割されたりすることもあったり、不要な面が含まれて負荷が大きくなったりするため、図形の作り方は工夫したほうが良い場合がありそう。

遮蔽オブジェクト・・・日射量は計算しないが、日射を遮るもの(庇などを想定)の図形を条件指定で取得します。

周辺環境オブジェクト・・・日射量は計算しないが、日射を遮るもの(周囲の建物などを想定)の図形を条件指定で取得します。地面をオフセット値以上の厚みで作成していないと、オブジェクトの底面が環境光を拾って日射量に算入されるっぽいので注意。

ladybug dataを表示

レコードフォーマット書き出しをチェックすると、各メッシュごとに数値のデータが格納されます。

レコードフォーマット書き出し」ノードを実行すると、その数値を表示させることができます。

日影解析

特定日時の日陰を出力します。

日陰解析用オブジェクト」レイヤーにモデリングを行い、「日陰日射」ノード(とありますが、「日陰解析」のタイポですね)を設定の上実行してください。地面の影を表示するには、地面を解析オブジェクトとして作図する必要があります。

ノード独自の項目のみ解説します。

解析日時・・・影を描画する日時の設定。

グラデーションタイプ・・・Ladybugに登録されているグラデーションタイプを選択します。ここでは「Shadow Study」が最適かと。

太陽軌跡・・・太陽軌跡を合わせて表示したい場合に設定してください。(グリッドサイズをかなり大きめに仮設定して、太陽軌跡のサイズ等を調整してから本番の解析をすると良いかも。)

今回はここまで。

次回は、光環境解析について解説予定です。





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