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第12回日置市100人カイギ+カードゲーム「2050カーボンニュートラル」参加記録

昨日、第12回日置市100人カイギにお声がけいただき、僭越ながら登壇の機会を得ました。

イベントに参加した際は、できるだけ何かしらのリアクションを示すのが関係された方々への一番へのお返しになると思っていますので、思いつくまま書いておきます。

100人カイギ

今回はテーマ設定アリの回だったようで、「環境」がテーマとのことでした。

このテーマで真剣に話そうと思えば何時間もかかりそうなのですが、持ち時間は10分。

言いたいことを思い切って絞らないととても納まらなさそうですし、どれも中途半端になってしまいそう。

何度もプレゼンを書き直しながら検討したのですが、結局は、具体的なことは最低限にして、抽象的でもいいので、自分のこれまで感じてきた違和感を中心に環境ついて現段階で考えていることを話す、ということにしました。

で、いざ登壇。

(写真は100人カイギ公式インスタのストーリーズから拝借)

話し始めるとうまく声が出ずに、めちゃめちゃたどたどしくなってしまいました。

それなりに練習しましたし、建築プロポーザルのプレゼン審査なんかでは普通に喋れるので、まーいけるでしょ、と思ってましたが、聞いてくださった方はドキドキして話が入ってこなかったんじゃないかと思います。お聞き苦しくてすみませんでした、腹筋鍛えます。

で、他の4人の登壇者の方はみなさんプレゼンがお上手で、自分のたどたどしさがとても際立っていたように思います。これに関しては、良くも悪くも何かしら印象に残ったかもしれない、ということにして、他の方々の感想を簡単に書いておきます。

山本勇樹さん・・・日置市に地域おこし協力隊として移住されてきた方で、肩書は「脱炭素コーディネーター」だそう。実は吹上事務所のご近所さんで、今のお住いの改修のお手伝いもさせていただいているので、よく知っている方。ですが、これまでの歩みや考えて来たことなどを詳しくは聞いていなかったので、良い機会になりました。スライドが90枚あると聞いていたので、それは無理では、と思ってましたが、ちゃんと10分程度でまとめられてました。

野崎信裕さん・・・ウミガメ研究会OBの方でお子様と一緒に参加されていました。子どもたちに出前授業もされているようで、ウミガメの産卵に自分も立ち会っているような気持ちになりました。屋久島の海で生まれたての子ガメは見たことがあるのですが、産卵時の母ガメに近づくと、動物としてのリアルさを実感できる、という話は、自分のイメージとのギャップもあって、子どもにも体験させてみたいと思いました。

内田崇さん・・・脱炭素推進のため、環境省から日置市に出向されてきた若きイケメン。子供時代の海外での経験から続く熱い気持ちと、実体験を求める姿勢に好感が持てて応援したくなりました。一方で、イケメンがちゃんと冗談も交えて笑いを取りながら最後は熱く落とす、というのはちょっとずるい、と思いました。

石井暢さん・・・ひおき地域エネルギー株式会社で再生可能エネルギーの普及促進や太陽光発電所の建設に従事されています。海外を含めていろいろな経験をする中、今の仕事に流れ着いたようですが、まだまだどこかに流れていきそうな雰囲気と、「誰かを助けたい」というより「もっとうまくまわるシステム」を見つけたい、という姿勢に共感しました。

ちなみに、日置市は2021年6月に温室効果ガス排出実質ゼロを目指す「2050年ゼロカーボンシティ宣言」を表明し、2023年4月には環境省に「脱炭素先行地域」として選定されているのですが、流れに乗っただけ、ではなく真剣に取り組もうとしているのが伝わってきました。下記のサイトを一度ちゃんと見てみようと思った次第。

カードゲーム「2050カーボンニュートラル」

今回は、100人カイギと同時開催で、脱炭素関連のカードゲームをやるとのことで参加してみました。

カードゲーム「2050カーボンニュートラル」の公式サイトです。
カードゲーム「2050カーボンニュートラル」 | 株式会社プロジェクトデザイン - 株式会社プロジェクトデザイン

正直なところ、どんなゲームか全く想像ができていなかったですし、ゲーム性に対してもあんまり期待はしていませんでした。

ですが、やってみたらすごく良く考えられていると感じましたし面白かったです。

ネタバレすると体験の質が変わるタイプのゲームなので詳しくは書きませんが、自分の事業があんまりうまくいかなかったり、お向かいの金融機関さんが自分の組織の利益のために卑劣な行動に走って失敗したり、とちょっとしたリアルさを感じられたりして。

あと、せっかくなので、このゲームをやってみて感じたことを、自分のプレゼンした内容に絡めて書いてみたいと思います。

私のプレゼンは、「資本主義的限界」ということを起点にして、経済成長をある意味否定するような内容だったのですが、このゲームでは、ゼロカーボンの達成と合わせて、経済成長することもある程度目標に組み込まれています。

まー考えすぎだなと思いつつ、あんな発表しちゃったので進行の石井さんがちょっとやりにくかったりしないかな、と若干気にしながらゲームに参加していたのですが、この状況を自分はどう整理したらいいんだろうか。そんなことをゲームが終わってからも考えていました。

私は「資本主義的限界」の話をしましたが、社会的・思想的な状勢からこの強固な資本主義がひっくり返ることは万に一つくらいしかないんじゃないかと思っています。(単にシステムとして破綻する可能性はおおいにあると思いますが。)

できることは、資本主義をひっくり返すことじゃなくて、資本主義から少しづつずれていく、つまり、資本主義だけに依存しない状況を少しずつ組み立てていくことだと思うわけです。それならば何かできることがあるかもしれない。と。

前回読んだ斎藤幸平のマルクス本『人新世の「資本論」』でいうところの「ラディカルな潤沢さ」に基づく「脱成長コミュニズム」というのも、資本主義をひっくり返すことが目的ではなく、生存やそこに付随するような喜びに関しては、自分たちの手で資本を介さずに賄えるようにしていこう、ということじゃないかと思いますが、逆に教育や本当に必要な技術などに対しては、資本の力を注いでも良いんじゃないか。

つまり、自分たちで賄う部分と資本の力を必要とする部分を共存させていく。自分たちで賄うことで自由になった時間やお金は無理のない範囲で資本の側にまわして良いし、資本の力で生まれた技術を自分たちでよりよく賄うことに使っても良い。そういったやり方でより豊かに感じられる状況を生むために知恵を使っていく、という道もありうるのではないか。ただ、今のシステムを維持し成長するだけのために、一部を除いたほとんどの人が時間もお金も生活も自然環境もほとんどを差し出さざるを得ない、というのはやはり合理的ではないし無理があると思うわけです。

そうすると当然、こういった考えを取り込んでいくと、このカードゲームはどんなものに変化するだろう、と思うわけです。そしたら、おそらく組織のお金の他に、市民カードを使う生活費と給料の概念が必要だろう。もしかしたら、他のチームとより連携が必要なものになるかもしれないし、その結果、使える手段がより増えるようなものになるかもしれない。

そして、現行版と改変型のカードゲームを並行してやってみることでどんなことが見えてきたりするんだろうか、と想像してしまうのです。ある会場では、こっちがいい、他の会場ではこれではダメだ、とか。

ただ、それだと制作者の思想がゲームバランスを決めてしまうし、未来を疑似体験するゲームであるからには、他にもいろんな想定の改変型があってもいいかもしれない。むしろ、一定の条件のもとで、いろんな団体(大学の研究室とか市町村のチームとか?)がこれこそが未来の可能性だと言える改変型のカードゲームを作成して、競い合わせる、みたいなことをやってみて、それを何かのかたちで表現するとかあったら面白いんじゃないか、と思ったりするわけです。(まー、ゲームバランスを成立させるのめちゃ難しそうだし、バリエーションそんなに増えるか、という気もするのであんまり参加者いないと思いますが。現行版はゲームバランスどうやって調整したのか気になりますね。)

オノケン

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